盛大に転んだよ!!

 それは太陽も傾きはじめたばかりの五月の午後。

 久々にマクドナルドのマックシェイクバナナ(無果汁)とダブルチーズバーガーセットを購入し帰宅。

 玄関からキッチンを抜けて洋室があるという典型的な1Kの部屋(専有面積およそ18平米)。通常時は洗濯機の上に積まれているフリーマーケット用の在庫ダンボール箱がその日は洗濯機を使用するために、二畳ほどしかないキッチンの通路に移動されていた。ここを通過するためには身をよじり、そのダンボール箱のタワーを躱さなければならなかった。

 しかもこの時、ごみをまとめていたためそのキッチンにはさらにごみ袋が置かれている。

 私は慎重にそれらを躱し。あと一歩で洋室にたどり着こうとしていた。






 だが・・・





 なんとしたことだろうか、次の一歩の足が出ない! 何者かに足を掴まれているかのごとく、次に前に出るべきである右足が動かなくなったのだ!!



「まずい!!」


 このまま倒れれば目の前の洋室に入ってすぐにあるプラモタワーへの激突は免れない。なんとか手をつこうにも、プラモデルの箱の強度などたかが知れている。

 一瞬にしてそれらの思考が脳裏を駆け巡る。マクドナルドの手提げを持たない方の手には、先ほどAmazonから届いた「機動戦士ガンダムZZ」のサントラCDが。手をつくことさえできない。そんな思考もむなしく結局そのタワーへと突っ込み、今さら解放された右足は床に膝を強打。倒れた腕の中ではマックシェイクが噴出したマクドナルドの手提げ袋がひんやり・・・。CDのケースのカミーユの顔の前にはヒビが・・・。
 幸い、セットのほうで頼んだホットコーヒーのふたは強固に取り付けられていたため、ダブルで液体が噴き出すことは防がれたものの、僕の体重に押しつぶされたプラモデルの箱は無残の姿に。

「くっそぉぉぉぉ!!」

 スパロボの一般兵が撃墜された時の声さながらに、私は叫んだ。きっと収録されていれば会心の一声であっただろう。玄関外の廊下に人がいたなら「何事か!?」と思われたに違いない。





 私はその日、マックシェイクを失いプラモの箱をつぶしてしまった。しかし、この時の痛みや悲しみは今後の芝居の役に立つであろう。そんなことを思えばどんなつらいことでも経験の一つにできる。それが役者というお仕事の良いところである。

 あざを作ったのも久しぶりだ。一昨年前のクリスマスに取り押さえた酔っ払いに殴られた時以来か。

 私は男だ。 多少のあざくらいどうということはない。それよりなにより、完成したプラモデルに突っ込まなくてよかった。

 あゝ、引っ越そう。


 そして



 今、わたしは




 SUUMOを見ている。 せめて20平米はほしい。
 教えてくれSUUMO。私のいるべき場所を指し示してくれ・・・。

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